「すべての芸術は模倣から」
・・・ここ1年、僕はもう何回言ったでしょうか?
申し訳ございません…
ただ、昨日僕が所属しているコミュニティで、異常に盛り上がったテーマが2つありましたが、僕にとってはどちらも大好きなこのテーマ、「模倣」と「パクリ」の違いだったりするな〜と思ってしまいました。
ちょっと違うテーマの2つだったけど。
1.これからの時代、1番大事なのは「企画力」
⇒ 企画と聞くと難しそうだが、何も無の状態から有を生み出すことだけが企画作業じゃない。既存のあるものを組み合わせたり、そこに自分なりのエッセンスを入れ込んだりするのも企画作業。
2. 今の出版業界の無能ぶり
⇒ 実際に店頭に行きもせず、感覚・・・それも一時代昔の感覚で企画作業を進める無能な人達。時代は動いている。その時代に乗り遅れた企画作業は何よりもサブイ。
僕は一応、企画を仕事の生業(なりわい)にしている。
世の中驚くほど、言われたことしか出来ない人が多い。
何かを生み出す人が少ない。
これって、、単純に僕から言わせると「逃げ」なんですけどね。
企画は誰にでもできる。
この記事ではその辺の話を出来ればな〜 なんて思います。
抽象度が高くならないよう、頑張ります!
▼【模倣】と【パクリ】の違い
企画というテーマを考える上で、やはり本当に重要なテーマ。
実際に僕はこのテーマでセミナーをしたことすらある。
いきなり空からウルトラなアイディアが降って来ることなんて絶対無い。
日頃の活動、そしてインプット・アウトプットを通じ、ある瞬間「閃いた!」という感覚に陥る。
皆最後の「閃いた!」というステップだけを企画作業と捉える。
甘い甘い。
知らない人はいない、ニュートンとリンゴと万有引力の話。
ニュートンが木からリンゴが落ちてその法則を見付けた! なんて言われているが、そんな分けは無い。
日頃、色々研究している中で、たまたま学校が休校であったこと。
その時にぼーーっと、木を眺めていたら、リンゴが落ちた。
なんでリンゴは落ちて、月は落ちないんだ??
・・・これだ!!!
そんな発想、普通の人はできないでしょ。
そして、このニュートンの万有引力の発見の前には、ケプラーの法則があって、その前はチコ・ブラエーの観測があって、またまたガリレイが発見した木星の4衛星があって…
つまりすべて繋がっている。
既存の原則・ルールの更なる発展系で新しいモノが生まれる。
かなり難しいので、もう1個だけ事例を。
僕の尊敬しているクリエイティブレィレクターに「大貫卓也」という素晴らしい人がいる。
今、あまり表に出て来ないが多分、TOPクリエイターだと思う。
日本で唯一のカンヌのしかもグランプリを獲った人。
↓ 日本で唯一のカンヌグランプリ作品はこちら
博報堂時代の彼の打ち合わせが長くて有名で…
そして彼のイズムを引き継いだ人も、とにかく打ち合わせが長い…
その間していることは?
殆どがリサーチとそれに付随する雑談。
そして何かが(アイディア)「降って来る」のを待つ。
秋元康も西麻布で長い時間スタッフと焼き肉食いながら企画作業をする。
今、広告代理店は効率化・残業代カット、、と言ってこの文化を排除しつつある。
打ち合わせが長いのが悪
実はですね〜 僕、長い打ち合わせ推奨派です。
※但し、広告代理店のクリエイティブ部門やテレビ局番組制作局と言ったTHE CREATIVE局に限りますが。
僕が最後の方にいた時に流行ってたスタイルが「持ち寄り打ち合わせ。」
つまり若いクリエイティブが企画を持ち寄って、偉そうなクリエイティブディレクターがあーでもない、こーでもないというもの。
皆、偉そうな奴はそうやる。
人の企画を否定するのなんて超ー簡単。
「代案無き否定」ほど、個人的にダサいことは無いと考える。
◯◯◯◯しかり、◯◯◯◯しかり、、今、有名なクリエイティブは、みーんなそう。
若い頃は凄く企画をしていたんだけど、今じゃプロデューサーっすね。
大手企業は騙されている。
彼らが本気になるのは、アーティストのCDジャケットのデザインや、タレントの機嫌取り企画にのみ。
また、脱線したんで、もとに戻しましょう。
どこまで戻るか…と言いますと、大貫卓也さんまで! 笑
その大貫卓也さんが数年前、CM業界がおとなしかったとき、衝撃の作品をつくりました。
それがこれ。資生堂TSUBAKI !!
↓
凄くCM業界が縮こまっていた時代に、年契約5000万クラスの女優を一気に複数採用!
SMAPにその為だけに曲を書かせ、1番重要な女性の「髪」の見え方を研究しまくり、編集しまくり!
さらにさらに、1番僕がカッコいい!と思ったのは、当時流行っていた、この商品は他の商品よりもこんだけいいんだ! みたいな小さなコピーじゃなくて、
「日本人の女性は美しい。」
というかなり堂々したキャッチコピーの採用。
いや〜〜〜痺れました。
確か広告代理店は、ADK(業界3位)で制作プロダクションは東北新社(業界NO1)天下の大貫卓也をコントロールするために、何人も死者が出たそうです。。。
このCMが大ヒットした後、広告代理店に何が起きたのでしょうか?
びっくりするくらいの「パクリ企画」の連発。
どの打ち合わせも、どのクリエイターも複数タレント案を提案。
TSUBAKIが女性だから、これは男性5人で、、とか、老若男女入り交じって混合集団を採用しよう!とか。
つまり、「複数タレント案」という表層的な内容だけをパクる。
だから全然流行らない。もっと言うと、企業に採用すらされない。
ただの二番煎じですから、そりゃあそうだ。
この大貫卓也が当時作った流れは、「量より質」という戦略。
量とはタレントの数じゃないんです。
CMを流す量。
3hitの法則じゃないけど、当時は3回CMにヒットしないと、記憶にすら残らない…そういう仮説で、企業は大量に広告費に投下しました。
そこで発想の転換を大貫卓也は行います。
「1回でもHitしても覚えてもらえる。インパクトがあるCMを。」
きっと上記、カップヌードルのCMはあの微妙な間を30秒の中で創り出しているから、凄くインパクトとして人の脳を刺激する。
だけど、当時も今も主流は15秒。
有名なタレントを起用した作品ばかりが目立っていた中、彼はそこを思い切って逆手にとった。
「15秒でインパクトありながら、敢えて30秒を。量なんて関係無い。」
※単純に30秒1回流す金額は、15秒を2回流せます。
そこまで計算して彼は設計した。
だからヒットした。
でも、その成功を表層的な部分だけで真似しても、そりゃあヒットしない。
だけど、やはり優秀な「模倣者」は出て来る。
さらなる素晴らしい「模倣作品」が生まれる。
これまた今のTOPクリエイター電通の澤本嘉光(さわもとよしみつ)という、ガスパッチョ、TOYOTAのREBORN、牛乳に相談だ、家庭教師トライと言った、
もう今流れているヒット作品を殆ど手がけるスーパーCMプランナーのこのシリーズ。
そう、ソフトバンクの白戸家ファミリーシリーズ。
ただ単にタレントの集合体じゃない。
犬を主人公にした、ファミリーという設定。
そして何よりも、ブランディング広告と言われるものじゃなく、機能・品質・サービスを伝える広告はとても難しいと言われているなか、彼はこの難しい方向にエンターテイメント性を加えた。
ただ単にタレントの集合体じゃない、「模倣」。
さらにさらに! ソフトバンクというオーナー企業の強さを利用し、強いCMの上に大量出稿を。
もう、、このCMが全盛期の時は他のCMは埋没しまくりでしたよ。
強いCM + 大量出稿に勝てる分けが無い。
大量出稿はおまけとしても、あの澤本さんですらも「模倣」する。
でも、そこら辺のエセの「パクリ」じゃない。
成功の表層的な部分だけを真似るのではなく、本質を研究し、そして自分なりにアレンジを。
ところで、優秀なクリエイティブは凄くディレクションが具体的です。
× ダメなディレクション 長嶋茂雄タイプ
「う〜〜〜ん、もっとインパクトを持って、20代の女性に刺さるメッセージを!」
← 分からん!!
◯いいディレクション とにかく事例を
「もう少し頭にインパクトが欲しいから、フォレストガンプの始まりのシーンのような編集は??」
←イメージしやすい!
とにかく優秀な人は昔の作品、もっと言うとCMだけでなく、すべての映像に詳しく、当然日本だけでなく海外も研究しまくり。
だから指示が具体的。
これは一長一短あって、逆に指示された人のアイディアの幅を狭めるリスクもあるから、さらに優秀な人はTPOに合わせて指示を使い分ける。
先日、NBGCというインターネットビジネス最高峰のコミュニティで、加藤さんというYoutuberが衝撃発表をしていたが、彼も「リサーチ」の重要性を説いた。
アクセスが集まる動画には理由がある。そこの解明を。
以前、ヒデちゃんに、
「俺、ファッションに詳しいから、BUYMA稼ぎやすいかも?」
なんてカッコ付けたら、
「KOIさんー、そうでも無いんですよ。そういうオシャレに自信がある人って、凝り固まっているから、冷静に市場分析出来ないんです。逆に、オシャレに弱い人が稼いだりしますよ。」
優秀なクリエイティブがやっていること、加藤さんが言っていること、ヒデちゃんが言っていること、僕はすべて同じだと思っている。
皆、その業界で活躍したいのにその業界のことをリサーチしなさ過ぎる。
「模倣」しない。
いきなりオリジナルに行く。
・・・成功しないですよね?
じゃあ、僕が尊敬している大貫卓也さんがやったTSUBAKIが1番凄いじゃないか?
だってオリジナルでしょ?
いきなり、「量より質」作戦 + 複数タレント案を思い付いたのは天才じゃないですか??
いやいや、これが違うんです。
彼がTSUBAKIの企画を思い付いたのは、この映画の「模倣」です。
↓
うん。
やはり、「企画」は面白い!